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星霜雪形

状態変化系の18禁小説を書いています。関連の同人・版権作品のレビューも書きます。18歳以下の閲覧禁止。

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ おわり

 色々倒錯した状況になった私たち。
 私の体を動かすミルキーが分娩台に座り、その足を大きく広げて出産の体勢に入った。
 ベルトを用いて両足を分娩台に固定する。本来はそこまではしないけど、両腕も後ろに回した状態で固定した。私たちの場合、自由を奪うのであれば両手足を取り外してしまうのが早いのだけど、そこはまあ雰囲気というものもある。
『ふー……結構緊張するわね……』
 ミルキーがそう呟くのが聞こえてきた。いろんな体を経験しているミルキーだけど、私の体全部を使うということはいままでなかった。
 きっと純粋に私の体が平気かどうかというところから、気にしてくれているのだと思う。作り物の体なら直せば済むけど、私の体は治らなければ腐り落ちるだけだ。
 まあ、そうなったらその部分を機械化してしまえばいいだけなのだけど、本来の持ち主の私と違ってミルキーにとっては借り物になるわけだから、緊張するのもわかる。
(全部任せる……とは言っているけど、それとこれとは違うもんねぇ)
 私たちはお互いにお互いの体を自由にしていい契約を結んでいる。私も時々ミルキーの体を自分好みに弄らせてもらっているし、ミルキーも気にしなくていいのだけど。
 そんなことを考えている間に、どうやら私の体は出産体勢に入ったようだった。
『ん……っ、くぅ……っ!』
 自分の体とは思えない艶っぽい声を出して、ミルキーが悶える。自然と体が動いてしまうのか、ギシギシとベルトが体に食い込み、なかなか痛々しい光景になっている。
 あまりに体が暴れるので、出産補助プログラムが動かすミルキーの体が、私の胸のところに×の字型に太いベルトを追加して、背もたれに括り付けた。
 唯一自由がきく頭を振り、ミルキーが悶え苦しんでいた。
 それと同時に、私の入っている人工子宮が蠢き始める。周囲から圧力を感じ、まるで全身を絞り上げられているかのようだった。
 本当の胎児がどう感じているかは定かではないのだけど、そのときの私は全身が締め上げられる感覚がものすごく気持ちよかった。これは恐らく胎児の人形から受ける感覚が快感に変えられているためだろう。
 まるで全身が性感帯になってしまったかのような、激しい快感が私に流れ込んでくる。
(うわ……っ、これ……すごい……っ)
 思わず陶然としてしまう私に対し、出産する側のミルキーはあえて激痛をそのまま味わっているようで、苦しげに顔を歪めて悶えている。側に立つミルキーの体は無表情で私の体で暴れるミルキーをさらに厳重に拘束していた。
 舌を噛まないようにか、大きなボールギャグか噛まされ、目はベルトに覆われ、それらを上から押さえつけるように頭部全体を固定するベルトが分娩台に縛り付けられる。
 ミルキーが暴れる度に分娩台が軋んで嫌な音を立てるけど、拘束自体はびくともしなかった。
 そうしているうちに、出産は次の段階に進む。
 子宮に閉じ込められていた私の体が、頭部から細い管状の空間に押し込まれ始めたのだ。
 細い管を通ろうとして、無理矢理頭がねじ込まれていく。
 赤ん坊の頭蓋骨は柔らかく、いくつかのパーツに分かれてその細い道を通るようになっているらしいけど、この胎児を模した身体はどうなっているのだろうか。
 いずれにせよ、私は限界を超えた締め付けを頭部に受けている感覚で、もう見えている光景に意識を飛ばす余裕がなかった。
『んぐぅうううううう!!!!』
 私の声をしたミルキーがすごいうめき声を上げているのか、ダイレクトに身体に伝わってくる。ボールギャグを噛んだ上でこの声量は相当大きな声をあげているということだ。
 出産の苦しみは相当なものだと、知識として知ってはいたけど、あのミルキーがここまで叫ばなければならないほどとは思っても見なかった。
 頭を押しつぶされる感覚を覚えつつ、いまの私の身体はさらに産道を移動していく。
 よくこんな狭い道を通って赤ん坊は生まれてくるなぁ、と思えてしまうほど狭い道をどんどん奥へと――実際には表へとなんだけど――進んで行く。
 粘土になった身体がチューブに押し込められて、排出されているかのような感覚だった。全身に与えられるそれが快感に変わっているのだから、私自身がおかしくなってしまいそうなくらい、気持ちよかった。
 一方のミルキーはわずかに動く身体をびくんびくんと痙攣させ、まるで死に際の痙攣みたいな動きをしていた。カットできるから大丈夫と本人は言っていたけど、本当に大丈夫なんだろうか。
 そうこうしている間に、私の身体の割れ目が内側から押し広げられ、胎児の頭部がのぞき始める。私の身体は割り裂かれるような激痛を味わいつつも、ミルキーとの普段のプレイで開発されていることもあってか、はしたないほどに愛液を滴り落としていた。
 出産しながら濡らすとか、かなり恥ずかしい。ここに第三者がいなくて良かった。
 さらに出産プレイは進み、私の頭が膣から飛び出した。そうなるとあとはもう流れで、胎児になった私はずるりと私の身体から産み落とされる。
 膣道の一部が裂けてしまったのか、血らしきものや、あふれた愛液、こぼれてしまった尿などで汚れていたけど、ミルキーの身体を動かすプログラムが手早く綺麗にしてくれた。
 清潔なタオルに包まれると、お風呂に入っているような、暖かくて心地よい気分に浸ることができた。
 私の身体に入ったミルキーはといえば、時折細かく痙攣しているだけで、どうなっているのかわからない。セーフティもあるはずだし、大丈夫だとは思うのだけど。
 そういえば、私は胎児の状態でしゃべれないし、私の身体を使うミルキーも口枷などがあるので喋れない。このままミルキーが動けなかったら、私たちはどうなってしまうのだろうか。
 一瞬不安になった私だけど、不意に私を抱いて立っていたミルキーの身体が、不意に動き出したことでその不安は払拭された。
『フゥ……ソラミ、楽しめましたカ?』
 いつものミルキーの調子に戻っている。私は上手く動かせない胎児の身体をなんとか動かし、頷いてみせた。
『フフフ……時間が来れば自動的に戻るようにしておいて良かったデス。そうしてなければ、回復まで相当な時間を要するところデシタ』
 そういってミルキーは私を、私の身体のお腹の上に置き、私の身体の拘束を解き始めた。自分の身体が解放されていくのをお腹から見るというのは、不思議な感じだった。
 上半身の拘束がすべてほどかれ、自由を取り戻した私の身体。
 けれどその私の身体は気絶しているかのように、白目を剥いたまま動かなかった。
『かなり無茶しましたカラ……すぐに戻すのは危険デス。しばらくそのままでお待ちクダサイ』
 それはそうだと思う。弛緩剤とか、色々使ってはいたけれど、本来出産の準備も何も出来ていなかった身体で、赤子を出産するという暴挙を行ったのだから。
『ちょっとやりたいことがあるノデ……完全に感覚を切りマスネ。眠っていてクダサイ』
 やりたいことってなんなのだろう。
 私は問いかけたかったけど、ミルキーが合図を出して私が感じる感覚を完全にシャットダウンしてしまったため、何もわからなくなってしまった。暗闇の中でじっと考え事をしていても仕方ないし、言われた通りに眠ることにする。
(ミルキーのやりたいこと……ねぇ。とんでもないことじゃなきゃいいけど……)
 そんな風に思いつつ、ミルキーがやりたいと思ったことでとんでもないことじゃなかったことはないので、半ばあきらめて受け入れることにしている。
 そして、私はひとときの眠りについた。


 目を覚ました時、私は自分の身体に意識が戻っていた。院内着だけを着せられている感覚がある。下着は身につけていないようだ。
 すぐ側にミルキーが立っている。その頭をかくんと傾げ、私が目覚めたのを認識したようだった。
『おはようゴザイマス。ソラミ奥様』
「おはようミルキー。今度はいったい、なにを……?」
 私はベッドに寝かされていた。身体を起こそうとして、いつもよりなんだか身体が重い気がする。身体が、というか、胸が、なんだけど。
 私が半身を起こすのをミルキーが介添えしてくれた。身体を起こした私は、自分の身体を見下ろす。見下ろそうとして、大きな双丘に遮られてしまった。
 元々そう小さな方ではない巨乳だったけど、いまは明らかにいままでの巨乳を超えた大きさになっているのがわかった。
(子供を産んで、母乳が出るようになると大きくなるとはいうけれど……それの再現ってこと? それにしては、なんだか重すぎるような)
『お気づきになられマシタカ』
 そんなことをいうミルキー。私は呆れつつ、応えた。
「気づかないわけないじゃない……やりたいことって、おっぱいを大きくしたってこと? 母乳が出るように改造されてそう……ね……?」
 言いながらその乳房を手で掴んでみた私は、その異様な感覚に思わず言葉を詰まらせ、肩を震わせてしまった。
 それはなんというか、奇妙な感覚だった。柔らかいはずの乳房が、いや、確かに柔らかくはあるのだけど、明らかにおかしな感触が胸の内にある。
 まるで、堅い半球状の何かが、胸の中に埋め込まれているような。
 その正体を探ろうとした私は直感でとんでもないことに気づいてしまった。ベッドの脇に立つミルキーを見上げる。
「……ちょっと待って。ミルキー。聞いてもいいかな」
『ナンナリト』
「あなた、いま頭の中に自分の脳は入ってる?」
 私のお腹は引っ込んだままだった。つまり、私のお腹の中にはいまミルキーの脳はないし、胎児もいない。
 けれど、ミルキーがさっき見せた頭の動きは、そこに脳が入っている動きじゃなかった。ささやかなものだけど、そこががらんどうな時と、脳という中身が詰まっているときでは動きが違うのだ。
 私のお腹にも、ミルキーの身体の頭にも、ミルキーの脳は入っていない。
 じゃあ、どこに行ってしまったのか?
 普段、あえて表情を動かしていないミルキーの口角が吊り上げられた。そして自分の頭部を指先で指し示す。
『さすがはソラミ奥様。ソウ、いま私のココに私の脳は入ってオリマセン』
「じゃあ、どこに……」
 言いながら、私はその答えを知っていた。
 私は両手で自分の胸を掴んでいた。
 ミルキーの眼球が強い光を放つ。その特殊な光は私の胸を照らし――その中に半球状のカプセルと、その二つのカプセルを繋いでいる管のようなものの陰を照らし出した。
『ご明察通りデス。私の脳は半分に分割され――ソラミ奥様の両乳房に半分ずつ収まっているのデス』
 とんでもないこと、の想定を軽く上回ってきた。
 ミルキーの発想のとんでもっぷりに、言葉が出ない。
『ご安心クダサイ。左脳と右脳の距離が少し離れただけデス』
 だけという言葉の意味を調べて欲しい。私は相変わらずとんでもないことをしでかしてくれたパートナーに、深々とため息を吐かざるを得ない。確かに私とミルキーはお互いの身体を自由にしていい契約を結んでいるけども、まさか乳房が脳を収納する袋のように使われるとは思ってもみなかった。
 自分の脳を分割するなんて悪魔的発想、とてもじゃないけど私には思いつかない。
「……ほんとうに大丈夫なの?」
『手術は上手くいきマシタ』
「そう……なら、いいのだけど」
 いまさら言っても無駄なことだとわかっている。転倒や事故に気をつけなければいけないのは、いままでと変わりないのだし、私はミルキーのとんでもない行動を受け入れることにした。
 私が感触を確かめるために、乳房を揉んでいると、不意に手のひらに暖かな感触が生じた。見下ろしてみると、着せられていた薄い院内着にシミが出来ている。
「……もしかして、母乳が出るようにも改造した?」
『はい。胎児に授乳は必要でしょう?』
 どうやら本気で出産したことにしたいようだった。
 子育てなどしたことがない私は、何をどうすればいいのかわからないけど、ミルキーがいてくれるなら大丈夫だろう。そもそも本物の胎児ってわけじゃないし。
 ミルキーがさっき私が――正確には私の身体を用いたミルキーが――産んだ、胎児を模した人形を連れてくる。産み落とした直後の胎児ではなく、ある程度落ち着いた姿になっていた。
 院内着を開けさせられ、二回りは大きくなった乳房を露わにし、その先端にある乳首に人形を吸い付かせる。人形はそれを感知して、口を動かして母乳を吸い始めた。
 ビリビリとした快感が走り、思わずあえぎ声が出てしまう。実際の授乳と違い、遙かに快感のレベルが高い。人前で授乳作業をするときは気をつけなければならないだろう。
『フフフ……ソラミ奥様に似せて作った機械人形……ワタシとアナタの子供っぽいデスネ』
 ミルキーはそう言って微笑みつつ、授乳する私を見守ってくれていた。
 確かに、そう考えるとこの子は私たちの子といえるのかもしれない。
 力強く吸い付いてくるその子の行動に肉体的な激しい快感を覚えつつ、胸中にもほんのりと母性的な快感が宿るのを感じていた。

 これからしばらくは、子供を産んだばかりの母親と、生まれたばかりの子供と、その世話をするメイドとしての、三人でのプレイが捗りそうだ。


~機械化メイドと奥様の出産プレイ 終わり~

ラバー猫型圧縮形態

 これは少し未来の話。
 圧縮ラバースーツを用いた移動が、すっかり一般にまで浸透した頃のお話。

 一台のドローンが圧縮ラバースーツを研究している建物の中に、開かれた窓から入る。
 そのドローンは小さな小包サイズの箱を抱えていた。予め指定されていた場所にその箱を置くと、ドローンはそのまま外へと飛び出していく。
 研究室に取り残された一個の箱。箱は金属製で、なにやら仕掛けがあるようだった。その箱はしばらく沈黙していたが、不意に動き出し、自動的に蓋が開かれる。

 開かれた箱の中は、真っ黒なラバーで満ちていた。

 みっちりと一部の隙間もなく箱がラバーで埋まっている。そのラバーは箱が開いたことを感知してか、突然膨らみ始めた。
 まるで風船が膨らんでいく時のように、ラバーが張り詰めながら箱の外まで溢れ出す。それは瞬く間に人間大の大きさまで膨らみ、気付けば箱を起点としてひとりの女性の人型が立ち上がっていた。
 その人型は最初厚みがなかったが、すぐに膨らみ、人間の形へとさらに近付く。人間を黒い型で取ったようなラバーの人形がそこに現れていた。
 ラバーで出来た人型は、本物の人間と同じように動き出し、両手を首の後に回す。そこにあったボタンを押すと、空気の抜けるような音と共に、頭部を覆っていたラバーが消えた。
 正確には消えたのでは無く、首に巻き付いているチョーカーの中に収納されたのだ。頭部を覆っていた全頭マスクが消え、長い髪がばさりと広がる。まるで最初からそうであったかのように、自然な形で髪が広がった。
「ふぅ。全く休日出勤なんて……伊澄ったら、勝手なんだから……」
 その人型――この研究所で働く綾子は、物憂げに溜息を吐いた。
 人体圧縮ラバースーツを研究している彼女は、そのラバースーツの開発者である伊澄と浅からぬ仲であり、協力して日々新しいラバースーツの研究を行っている。
 いま綾子が行った、圧縮されて箱に詰められてドローンに目的地まで運ばれるという行為も、現在の世の中ではポピュラーな移動手段のひとつだった。
 それはすべて圧縮ラバースーツを開発した彼女たちの功績の結果であり、経済効果は果てしないものとなっている。
 ゆえに伊澄も綾子も、すでに一生遊んで暮らせるだけの資産を有しているのだが、彼女たちはラバースーツの研究をいまだに続けている。
 正直、綾子としてはいい加減家庭を持って落ち着いてもいいと思っているのだが、伊澄の方が研究中毒であるために、彼女も付き合っている形だ。
 この日も本来は休日なのだが、伊澄が新しく開発したラバースーツの実験をしたいというので、仕方なく出勤したわけである。
(まったく……研究熱心なのはもう諦めたけど、休日返上まではしなくていいと思うんだけどね……今日はゆっくりファンシーショップでも見に行こうって約束だったのに)
 付き合いの長い伊澄にさえ「意外」と言われるのだが、綾子はファンシーなグッズが大好きである。彼女の自室はぬいぐるみなどの可愛いもので埋め尽くされていた。
 たまの休日にそういったぬいぐるみなどのグッズを買い集めるのは、綾子の数少ない楽しみであった。
 その約束を反故にされたのだから綾子としては伊澄に言いたいことが多々あったのだが、それでも伊澄にどうしてもと頼まれると断ることが出来ない程度には、彼女は伊澄に甘かった。
 綾子はここに移動するために着ていたラバースーツを脱ぎながら、研究所の奥に呼びかける。
「伊澄ー? 仕方ないから来たわよー」
 ここは研究所の中で、伊澄と綾子に割り当てられた区画である。
 そのため、ラバースーツを脱いだ全裸のまま歩き回っても問題ない場所だった。
 新しいラバースーツを試す以上、どうせ全裸にならないといけないと考えた綾子は、全裸のまま、伊澄がいるはずの研究室へと近付いた。
「新型ラバースーツの実験するんでしょ? さっさと済ませて、買い物に――」
 そのとき、綾子はふと足下に気配を感じた。
(……なにかしら? なにかが脚に……)
 足下で動く何かといえば、猫や犬などの小動物が考えられた。
 可愛いもの好きの綾子は猫カフェなどにもよく訪れる。その時の感覚を思い出し、足下を見た綾子は、自分の脚に擦りついている者の存在に驚く。
「ね、猫……?」
 見た目は黒猫のように見えた。四つん這いでトコトコと歩き、綾子の脚に身体をすりつけている。ただし、その感触は普通の猫のそれと全く違った。
 しかし、綾子にとっては、猫の毛のそれより遥かに慣れ親しんだものだ。
「ラバーで出来た、猫……?」
 そう綾子が呟いた、次の瞬間。

 突如、その猫が大きな口を開け、綾子の爪先に吸い付いた。

 口の中までラバーで出来ているのか、ラバーがぺたりと張り付く慣れ親しんだ感覚を綾子は覚える。
「わっ、ちょっと、あぶな……っ!?」
 猫を踏みつぶさないよう、吸い付かれた脚を思わず持ち上げた綾子は、猫の続く動きに瞠目した。
 爪先から足首まで、まるで蛇が獲物を飲み込むように猫の口が這い上がって来たからだ。
「え、ちょっ、うそ、なにこれっ」
 慌てて綾子が脚を振って猫を引きはがそうとするが、猫は身体をぐにゃりと伸ばしながら脚を這い上がってくる。ぴちぴちとラバーが張り詰めるような感触は、まるでラバースーツを履いているかのような感覚だった。
 しかし、綾子にしてみれば猫の身体が這い上がってくるのは、捕食されているような感覚に他ならない。食べられる恐怖というものを、綾子は感じていた。
「や、やめなさいよっ。離れて!」
 猫の口に指をかけ、無理矢理引きはがそうとするものの、強力に張り付いてくるラバーは綾子の抵抗虚しく徐々に浸食を続けていく。
 指が巻き込まれそうになって慌てて手を引こうとすると、そこだけは妙にするりと抵抗なく抜け出せた。
 だが、脚はすでに太股までラバーに覆われ、健康的な脚線美が強調されている。
 逃げようにも、脚に這い上がられている状態ではどうしようもならない。人を呼ぼうと電話口まで行こうとしても、脚の裏の部分が床に強力に張り付いてしまい、動くこともできなかった。
 やがてラバー猫は綾子の脚の付け根まで到達する。
「や、やめてっ! ここはダメっ!」
 綾子は自分の身体の中にまで入られることを防ぐため、秘部と肛門を両手を使って覆う。だがそれは無駄な抵抗だった。
 覆ったはずの掌の内側に滑り込むように、ラバー猫が綾子の身体を覆っていく。幸い、ラバーは綾子の体内までは入ろうとしなかったが、秘部と肛門の上をラバーが這いずっていく異様な感覚が綾子には感じられた。
「~~~ッ」
 ラバースーツを着る時にもあり得ない、おぞましい感覚に綾子は声なき悲鳴をあげる。
 ラバー猫の方はそんなことには一切構わず、瞬く間に彼女のもう片方の脚もラバーで覆ってしまった。
 そうなると、まるでラバー猫に身体を飲み込まれているような、端から見るとそんな奇妙な状態に綾子はなっていた。
 お尻までが飲み込まれ、まるで大きな口をあけたラバー猫に腰から下が飲み込まれてしまったかのようだ。
 ラバー猫の無機質な作り物の目が、綾子には恐ろしく思えた。
「ひっ……」
 息を呑む綾子をあざ笑うかのように、ラバー猫の浸食は続く。
 腰を超え、お腹や背中までもがラバーに覆われていっていた。なんとか抵抗しようと再度引き剥がしを試みたが、結果は変わらない。
「あっ、ああっ」
 這い上がってくるラバーに潰され、彼女の形の良い乳房が無残に潰れる。ローラーで挽き潰されたような痛みを感じた綾子だったが、それが過ぎると、ラバーはまるで乳袋のような形に変化し、彼女の乳房を潰さずに程よい丸みを帯びた形で落ち着いた。ゴムボールのような、普通では中々ならない綺麗な形だった。
 その状態ならば、さぞかしさわり心地がいいことだろう。
 だがそのことを綾子が理解するには、彼女にとって状況は切迫していた。
 胸を通りすぎたラバー猫の浸食は、彼女の両腕にも及んでいたからだ。
「く、くぅう……っ」
 なんとか抵抗しようともがいていた綾子だが、ラバーの浸食は残酷なまでに淡々と進められる。まるで猫の皮を着せられているかのように、彼女の両腕は丸みを帯びて肉球の伴った形へと変えられていた。
 それはすでにラバーが通過した下半身も同様で、まるで猫が二足歩行をしているかのような不格好な姿に変えられていた。
 猫の姿に近づきはしたものの、臀部や乳房など、よりにもよって一番女性らしさが出る部分はそのままの形が活かされており、普通の猫よりも卑猥な形状と言えるだろう。
(い、いっそそこも全部猫みたいになってくれたらいいのに……! こんなの、恥ずかしすぎる……!)
 とはいえ、全体的な形としては猫に近付いたため、二足歩行するのが難しくなった綾子は両手を――両前足というべきかもしれない――床に着けて四つん這いになってしまう。
 首までラバー猫が覆い、最後の一押しのように猫の頭部が綾子の頭に覆い被さるように髪を巻き込みながら飲み込んでしまった。
「う、うぅ……っ!」
 綾子は全身をラバー猫に飲み込まれてしまい、声も満足に上げられなくなる。
 完全に飲み込まれてしまった形だが、それでラバー猫の動きが終わったわけではなかった。綾子はその全身を震わせ、そのことを自覚する。
(こ、これって……!? まさか……!)
 全身ぴったり覆ったラバーの締め付けがさらに強くなったかと思うと、まるで全身を絞り出そうとしているかのような強さに変わった。
 その圧縮される感触は、彼女にとって慣れ親しんだものと言える。
(ああああ! あっ、圧縮されてる……っ!!)
 ラバー猫の形に身体が圧縮されているのを、綾子は感じていた。自分の視点が低くなり、周りのものが巨大化していくのがラバー猫の目を通して見えていた。
 ほどなくして、綾子は最初に彼女の足下に擦り寄ってきた猫サイズに縮んでいた。
「ウ、ウゥウウウ……ッ」
 動こうとすると、ギシギシと全身が軋んでラバーの感触が走る。その衝撃は凄まじく、綾子は目の前に星が飛ぶような衝撃を感じていた。
 ドアが開く音がして、研究所の奥から伊澄が現れたのはそのときだった。
「綾子? ……ああ、どうやら新型はちゃんと作動したみたいね」
 伊澄はいつものラバースーツを着ており、こともなげに綾子に近付いたかと思うと、ぬぐるみサイズのラバー猫と化した綾子を持ち上げた。
(い、伊澄……っ! どういうことなのっ)
「こほん……とある筋から入手したアイデアを私なりに圧縮ラバースーツに活かしてみました。名付けて『圧縮形態・ぬいぐるみ』!」
 圧縮ラバースーツの欠点のひとつをある意味解消することが出来るのだと伊澄は言う。
「ほら、平面化ラバースーツは身体への影響を考えて、幼児には使えないってことになってますよね。だから、いまは幼児を連れて電車に乗る場合、圧縮されるのは保護者だけで、幼児だけを通常の座席に載せないといけないでしょう?」
(……もしかして、ぬいぐるみ型に圧縮させて……子供に抱かせる気!?)
「この形状なら、子供は喜んで抱えるでしょうし、ある程度動けるので遊ぶことも可能! なにより保護者は子供から目を離さずに済むので安心安全というわけです!」
(とんでもないことを考えつくわね……あんたは……)
 綾子は内心、溜息を吐くしかなかった。
 いまは圧縮ラバースーツが浸透しているからまだ受け入れられる余地はあるが、一昔前ならばあまりに倒錯的すぎる行為だ。
 伊澄は楽しげにラバー猫となった綾子を抱きかかえ、撫でさする。
「いやぁ、それにしても可愛いわぁ……ぬいぐるみ好きの綾子の気持ちがちょっとわかるかも」
(あのねぇ……っていうか、ぬいぐるみ型というにしては、これ身体のラインがイヤラシすぎない?)
 綾子が抗議を込めた目で睨むと、付き合いの長い伊澄はその内容を的確に悟った。
「ふふふ……もちろん、実際はもっとぬいぐるみの形に近付けるわよ? 今回は特別。だってこの方が私たちは楽しめるでしょう?」
 伊澄が悪い笑みを浮かべるのを見て、綾子は嫌な予感を覚える。
 その予感は、伊澄が強調された乳房を弄りだしたことで的中した。
(ひゃっ、い、伊澄っ! やめてっ!)
「平面に圧縮した状態での快感も中々だけど……こうして元々の形に近いと、小さく圧縮されている分、快感も純粋に強くなってるんじゃないかしら?」
 その伊澄の指摘は的確だった。小さくなっているはずなのに、綾子は何倍にも大きくなった乳房を揉まれているような快感を覚えていたのである。
 猫の手足となった綾子の四肢が、迸る快感に震え、ビクビクッと痙攣する。
「今日はファンシーショップを見に行こうって話だったもんね。だから、このまま行こっか綾子」
(ひゃぅっ、あっ、ああっ、きゃぅっ!)
「ぬいぐるみコーナーに並べてたら買われちゃったりして……なんてね」
 ラバー猫になった綾子を抱きかかえて弄りながら、伊澄はラバースーツの上にコートを羽織る。
 そして、抱きかかえたラバー猫の綾子と一緒に、ファンシーショップに向かうのだった。

 圧縮ラバースーツを生み出した彼女たちの休日は、これから始まるのである。


~ラバー猫型圧縮形態 おわり~

10月に書きすすめようとしている作品たち(※あくまで備忘録です)

星霜雪形で途中になっている作品の一覧です。

・ 機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ(胎児に意識を移されたソラミ。ソラミの身体にミルキーは)
・状態変化なふたり続編(圧縮ラバースーツの新しい機能を作ったと伊澄に呼び出された綾子。そんな綾子に……)
[ 2018/10/01 20:00 ] 連絡 | TB(-) | CM(0)

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ 6

 唐突に何も見えなくなっても、私はあまり慌てなかった。
 ミルキーと一緒に暮らして彼女の希望するプレイに付き合っていると、これくらいのことは結構普通にあるからだ。
(それにこの感じ……たぶんあれよね)
 以前、私に全身が機械になる感覚を味わって欲しいということで、特殊なバイザーを用いてミルキーの身体を動かしてみたことがある。
 意識そのものをミルキーに移動するような形で、自分の身体はすぐそこにあるのに、ミルキーになってしまったような感じがしたことが印象深かった。
 そのときはミルキーは私の第二の人格みたいに存在して、記憶や意思が混在して心地よかった。もっとも、精神的には同一化しそうになってあぶなかったらしいけど。
 その時、ミルキーは私と感覚や視覚を共有していたけど、そうしない場合は意識だけが暗闇に取り残された形になるのだと言っていた。
 ひょっとすると、いまの私はその状態にあるのかもしれない。
(けれど……なんだか身体の感覚は朧気ながらもあるのよね……)
 全身がじんわりと暖かいのを感じている。ふわふわとした浮遊感は、まるでぬるま湯に浮かんでいるようだった。ここにずっといたくなるような、安心感が――そこまで考えて私はある考えに至る。
(もしかして……!?)
『ソラミ奥様……いえ、いまはソラミと呼びましょうか』
 ミルキーの声、じゃないけどミルキーの言葉が聞こえてきた。それは耳に馴染んでいるようでいて、あまり馴染みのない声だった。
 声をあげようとしたけど、うまく身体が動かない。動こうとした意思も読み取られているのか、ミルキーがくすりと笑った。
『声は出せないわよ、ソラミ。いま、あなたがどうなっているか見せてあげるから』
 そう言われるのとほぼ同時、視界が急に明るく開けた。
 見えてきた景色は、いままで私が視ていた診察台の上からの景色ではなく、その診察台がある部屋を俯瞰して視る監視カメラからの視点だった。
 診察台の上には私の身体が寝ていて、すぐ傍にナース姿のミルキーが立っている。
 私の身体が動いて、私の視界を提供しているカメラの方を向いた。
 そして、私の身体が口を開いた。
『見えてるでしょ? 見えてるなら、脚を動かして見て』
 聞き慣れないけど聞き慣れた声は、私自身の声だったのだ。どうやってかしらないけど、いま私の身体はミルキーに乗っ取られているみたいだった。
 私は言われるまま、力を込めてもがく。他の部分はともかく、脚だけはしっかり動いた。私が動くと、私の身体を使っているミルキーが、いつの間にか接続し直した手で、私のお腹を愛おしげに撫でている。
『ふふ……元気に蹴飛ばしちゃって。やっぱり妊娠といえば胎動よね』
 そのミルキーの動きで確信した。私のお腹の中に入れた胎児を模した人形。いま私はあの人形に意識が移された状態にある。
 そうして空いた私の身体を、ミルキーが使っているのだ。
『察したみたいね。そう。ソラミはいまお腹の中の胎児になっているの。貴女には出産される側になってもらうわ。私なら出産で受ける衝撃を自由にカット出来て安全だしね。助産に関してはお産プログラムを入れた私の身体にやってもらうことになってるわ』
 そう言ってミルキーが、傍で棒立ちになっていたミルキーの身体に視線を向けると、ミルキーの身体は若干ぎこちない動きで、静かに頭を下げた。
「ナンナリトご命令クダサイ」
 いまのミルキーは身体も機械ならそれを動かしてるのも機械なのだから当然なのだけど、非常に機械らしい動きをしていた。
 つまりいまの状態は、私の意識は私の身体の中の胎児に宿り産み落とされ、ミルキーの意識が私の身体に入って胎児を出産しようとしていて、ミルキーの身体はプログラムが動かして私の身体のお産を手伝う、ということになる。
(なんというか……私がいうのもなんだけど、倒錯してるわよねぇ……)
 そんなミルキーに付き合ってしまうのだから、本当に私が言えた話ではないのだけど。

つづく

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ 5

 ミルキーが取りだしたのは胎児、の形をした人形だった。
「本物を使うわけにはいきませんカラ。でも、かなり良く出来ているデショウ?」
 そういって近付けて見せてくれた胎児は、確かに良く出来ていた。ちょっと不細工な感じというか、生まれたてほやほやな様子が実にそれっぽい。
「これを出産してイタダキマスガ……まずはミソラ奥様の子宮を出産用に交換イタシマス」
 そう言って開かれたままだったお腹のハッチからミルキーが手を入れて、機械化された子宮をミルキーが分解していく。
 ミルキーは自分が機械の身体をしているので、こういったものを扱うのは手慣れたものだった。さほど手間取ることなく、ミルキーの脳を収納するための子宮が、出産プレイ用の子宮に取り替えされる。
「交換完了デス。子宮の下部から奥様の膣に繋がるようにナリマシタ」
 そこを通して出産するということなんだろう。
「膣などには弛緩剤をかけてありますので、破れる心配はアリマセン」
 本来なら陣痛などを経て徐々に出産の準備を整えていくものだけど、その辺りは省略してくれるみたいだ。苦しみたいわけじゃなかったので、正直助かる。
「それでは胎児を子宮に収納シマス」
「……いまさらだけど、胎児を子宮に収納ってすごい言葉よね」
「疑似行為デスノデ」
 しれっと返してきたミルキーが、私の子宮内にさっきの疑似胎児を入れる。胎児の直径はミルキーの脳よりは小さいだろうけど、はたして本当に膣を通るのだろうか。
 少し不安になった私の気持ちを見越してか、ミルキーが私の頭を軽く撫でてくれた。それだけで満たされて恐怖心が和らいでしまうのだから、私の気持ちも安上がりなものだ。
 胎児を収めた子宮を閉じ、お腹のハッチも閉じると、先ほどまでとは感じる重みが少し変わっていた。少しだけ軽いような気がする。
「何キロくらいの胎児を入れてくれたの?」
「約2キロデス」
「……あれ? それにしては、お腹が軽く感じるのだけど」
 脳ってそんなに重かったのだろうか。
「普通、人間の脳の重さは1キロ前後デスガ、私の脳の場合、それを保護するカプセルの重量が加わってイマス。なので、実際には4キロ前後になっているノデス」
「ああ、なるほど……」
 言われてみれば確かに。ミルキーの脳はその周りのカプセルも含めての重さだから、重くなるのは当然だった。逆に言えばその機能を備えて3キロに抑えている技術力がすごい。
 出産する胎児も体内に入れ、いよいよ出産するが来るのかと思っていたけど、ミルキーはまだ何か準備をしている。だるま状態の私には何を準備しているのかわからない。
「ミルキー? まだ何か用意するものがあるの?」
「ハイ。ところでミソラ奥様、出産の際には激痛が走るのはご存じデスヨネ」
 急に何を言い出すんだろう。
「それは……もちろん。覚悟の上だけど」
「いかに弛緩剤を用いたとはいえ、そのままミソラ奥様が出産の激痛を味わうのは危険だと判断してオリマス」
 そう言いながらミルキーはなにやらチョーカーのようなものを私の首に巻いた。
 それが何なのか私が尋ねる前に。

 唐突に私の視界が真っ暗になった。

つづく

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ 4

 ミルキーが車椅子を動かすと、その車輪に連動しているのか、私の身体に突き刺さっているバイブが動き出した。
 それもただ震えるだけではなく、上下に深くストロークする動きも加わっていた。
 体内を抉るそれらの棒は、恐ろしく太く長く、私の子宮口を突いている。子宮内に収めてあるミルキーの脳をも突いていることになるのだけど、ミルキーは平気そうだった。
「さあ、参りマショウ」
 車椅子は静かに動いていく。病院着の中で両方の穴を突いているとは思えないほど静かな駆動音だった。特注の車椅子ということだったけど、このためだけにミルキーが用意したとは考えにくい。同じような発想でこの車椅子を使っている人がいるのだろうか。
 私は両方の穴を容赦なく突かれつつ、駐車場から病院の建物内へと入った。普通に人も行き交う廊下を、私はバイブに虐められながら進む。気づかれないよう、平静を装ったが、感じてしまうのはどうしようもない。
 そんな私にミルキーが囁いてきた。
「ふふ……奥様、頬が上気して時々身体を震えさせているのがハッキリワカリマス。本当の病人のようで、とてもヨイデスネ」
「ウゥ……ッ」
「ほとんどの人は気付かないデショウ。でも、不審に思っている人はいるヨウデス。ほら、そこの男性トカ……」
 羞恥心を煽ってくる言葉だとわかっていても、それに反応してしまうのは仕方ない。
 不審そうなというよりはお腹の膨らんだ妊婦が病気して大丈夫なのか、という心配そうな視線だったけど、視線には変わりない。
「フゥー、フゥー……」
 興奮してしまう。早く人気のないところに行って欲しいのに、ミルキーはあえてゆっくりと車椅子を進め、私を散々焦らした。
 漸く『分娩室』と銘打たれた部屋にたどり着いた頃には、私の心と身体はすっかり出来上がっていて、いまにも目の前が真っ白になって気絶してしまいそうだった。
 そんな私を、ミルキーが分娩室の中へと誘う。
 分娩室の中には、いかにもな分娩台の他にも、様々な機械類でいっぱいだった。
「さて、それではまず私の脳を取り出しマスネ」
 私は分娩台ではなく、普通のベッドの上に寝かされる。その際、院内着は取り去られたので、頭と胴体だけの芋虫状態で仰向けに転がることしかできない。ミルキーの脳の重みがもろに身体にかかってきて苦しい。
 苦しさに耐えつつ、私はお腹を開いてミルキーの脳が入ったカプセルを外部に晒した。それをミルキーが持ち上げ、展開した自分の頭部に収納していく。
「お腹は開いたままでお願いシマス」
 ミルキーにそう言われたので、お腹のハッチは開いたままにしておいた。ミルキーの脳の重さが無くなったので、仰向けになっても楽だった。
 けど、ミルキーが体内にいる状況に慣れてしまっているので、なんとなくお腹の中が寂しい感じがした。
 内部を外に晒しているという物理的な理由だけじゃ無い、すきま風が吹いているような心細さを感じる。
 そうしている間にミルキーは脳の収納が終わったのか、出産プレイのための準備を始める。手早くメイド服を脱いだ彼女は、露出の高いミニスカナース服を身につけていた。すらりと伸びる足は関節部がむき出しで、機械的な美しさがあった。
「それでは、出産プレイを始めマショウ」
 そう言ったミルキーが最初に用意したのは――胎児だった。

つづく

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ 3

「奥様にはこの特製の車椅子で病院内を移動してイタダキマス」
「ちょ、ちょっと待ってミルキー。それかなり太くない?」
「いつも使っているバイブとあまり変わりマセン」
 自信満々にいうミルキーだけど、明らかに太いように見えるのだけど。
 いずれにせよ、拒否権のない私はそのバイブに乗せられた。なんだろう、こう、自分がフィギュアか何かになって、固定用のポールにでも突き刺されたような、そんな感じ。
 いきなりの挿入で不安だったけど、普段から十分に慣らしている私のふたつの穴は、太いバイブを同時に受け入れられた。
「うぅ……っ、く、苦しいわ、ミルキー……」
「オヤ、そうデスカ? その割には入れる前から随分濡れていましたケド」
 笑いを含んだ声でミルキーがいう。機械音声なのにそういうところはしっかりと伝わってくるんだからズルい。
 私は顔を赤くして羞恥に耐える。その間にミルキーはその他の準備を進めていた。車椅子の背もたれからバッテンの形にベルトを伸ばし、私の上半身を車椅子に固定する。ベルトが身体に食い込んで胸の膨らみを誇張してしまい、かなり恥ずかしい。
「っ……さすがにこのベルトは目立つんじゃ……?」
 どんな重犯罪者を拘束しているのかと思われるだろう。けれど、ミルキーは気にしていないようだった。
「目立つかもシレマセンネ。それもまた良しデス」
 どうやら今回、ミルキーは私を堂々と周りに見せ付ける気でいるようだ。
 露出プレイというよりは、羞恥プレイの一環なのだろう。病院でそういうプレイをしていいのか疑問だったけど、恐らく根回しは済ませてあるのだと思う。
 ミルキーはさらに、さっき取り外した私の両手両足を、胴体には接続しないようにしながら車椅子の上に置いた。腕は袖の中を通し、足の付け根は薄いブランケットで覆ったため、一見すると行儀正しく座っているように見える。
 でも実際は胴体しか自由にうごかせない芋虫状態で、バイブによって二つの穴を貫かれ、背中をベルトによって背もたれに固定され、ほぼ動く自由が無い。
「次はこれデスネ。声が出てしまうとさすがにマズいデスノデ」
 そういってミルキーが私の前に差し出してきたのは、恐ろしく太く長い張り子のついた、口枷だった。
「え……」
 そのあまりの凶悪な大きさと形に血の気が引く。それを咥えこんでしまったら、喉の奥まで犯されるのは明らかだった。
 男性器の形を模したそれが私の頬に触れさせられる。柔らかな感触ではあったけど、それはなんの気休めにもならなかった。
「口を開けてクダサイ」
「み、ミルキー。我慢するから……っ」
「ダメデス」
「みるっ、むぐっ、うぐぐっ!」
 わずかに空いた隙間から容赦なく押し込まれた。
「舐めながら受け入れないと、余計に苦しいデスヨ?」
 私は涙目になってえづきながら、なんとか口に咥えたそれを舌でなめ回し、唾液をマブしていく。徐々に奥へ奥へと押し込まれていき、喉の奥まで満たしていた。唇の端から零れた唾液が神経の繋がっていない私の足の太股に落ちる。
「ウグッ、ウウッ」
 口の中が喉の奥まで一杯で、呻き声もろくにあげられなくなった。
 ミルキーは口枷の部分のベルトを私の後頭部で締めてしまい、どれほど私が苦しんでもそれを吐き出させなくしてしまう。
「口枷は大きめのマスクで隠しマス」
 妊婦なのか病人なのかわからなくなってきた。病院内をうろつければミルキーとしてはどちらと見られても構わないのだろうけど。
「フゥ、フゥ、フゥ」
 鼻で息をするしかない私は、体内を下から上から貫かれ、いっぱいっぱいだった。
 ミルキーが私の顔を白いマスクで隠し、そして後ろに立つ。
「それでは参りマショウカ」
 車椅子が移動を始める。
 それと同時に、ふたつの穴を貫くバイブが、震えるだけじゃなく、上下に動き始めた。

つづく

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ 2

 出産予定日、と銘打ったプレイの実行日。
 私はミルキーの運転する車に乗って、病院へと移動した。
「ミルキー、いつのまに車の免許取ってたの?」
「自動運転プログラムをインストールすれば容易なことデス」
 九割が機械の身体のミルキーは、大抵のことをプログラム学習でこなしてしまう。ミルキー並に全身を機械化する者は少ないけど、そういうところを踏まえると全身機械化は確かに楽ではある。
 けれど。
「……自動運転の車を買えばよかったんじゃない?」
 一世紀ほど前は未来の技術と言われていた自動運転車も、いまではごく普通に道を行き交っている。運転手が不要で、飲酒なども自由に出来るということで、そちらの方が主流なくらいだ。
 ミルキーは別に車好きの運転好きというわけではなかったはず。
「自動運転車だと、奥様の従者たる私の仕事が取られた気分になりますノデ」
 しれっと宣言するミルキー。要は嫉妬に近いものを自動運転車に感じるらしい。
 私は苦笑いを浮かべるしかなかった。
 九割機械だからといって、機械と張り合わなくてもいいのに。
 そうこうしている内に、病院にたどり着いた。
 車は地下駐車場に吸い込まれていき、普通の出入り口とは違う場所から入るようだ。
 車を止めた後、ミルキーが先に降りてなぜか車椅子を用意してきた。
「奥様、こちらへドウゾ」
「歩けるわよ?」
「せっかく病院に来ましたノデ、雰囲気をだそうカト」
 言うやいなや、ミルキーが私の両腕を取り外してしまう。素早い。あまりの早業に抵抗する暇もなかった。
「わっ、ちょっとミルキー!」
「失礼イタシマス」
 さらに両足も取り外され、私はあっという間に抵抗の術を奪われた。
 着ていたマタニティドレスをはぎ取られ、下着も没収されてあっというまに全裸にされる。一応駐車場の奥まったところとはいえ、こんなところで裸にされるとは思っていなかった。 院内着のような、簡素な服を着せられる。丈は座った状態でちょうど座面につくくらいの長さなため、コケシか何かになったような気分だった。
 お腹がでっぱっているから、コケシというにはちょっと不格好だったけど。
「持ち上げマス」
 ミルキーの腕が私のお尻の下に入り込み、もう片方の手で背中を抱えるようにして、身体が持ち上げられた。ちょうどミルキーの手が私の股間、恥部と肛門を抑えていて、かなり恥ずかしい。
 持ち上げられ、車外に連れ出された私は、用意された車椅子の座面を見て、驚愕することになった。
 やけにごつい車椅子だとは思っていたけど――その座面から、二本の太いバイブが突き出していた。

つづく

機械化メイドとサイボーグ奥様の出産プレイ 1

「そろそろ、ソラミ奥様に子供を産んでいただこうとオモイマス」
 いつものように四肢を取り外して行為に耽った後、再び私の子宮の中に彼女の脳を収納していると、ミルキーはいきなりそんなことを言いだした。
「……えっと、どういうこと?」
「ここに越してきて半年。そろそろ出産しないと不自然デスカラ」
 確かにそうかもしれない。
 私たちは周囲に「妊婦の奥様と、その世話をしているメイド」として認識されている。
 引っ越してきて半年も経っているのだから、そろそろ出産を迎えなければおかしい計算になる。
 まあ、実際には臨月に近い大きさのお腹のまま半年も経っているのだから、何かがおかしいということに普通の人は気づいているとは思うけど。
 幸いにして、いまの世知辛い世の中、隣人にそこまで興味がある人はそういない。
 とはいえ、ごまかすにも限度があるということで、彼女はその提案に至ったようだ。
「でも子供を産む、なんてどうするの? ……あなたの脳を産む?」
「イエ、さすがにそれは無理がアリマス。膣道を弄れば可能ではありマスガ、脳そのものが傷つくリスクが高すぎマスシ」
「そうよねぇ」
 膣は私の生身のままだから弄るのにも限度があるし、逆に通せるように脳の容れ物を弄るのは、脳に障害を与えるリスクが大きすぎる。
 脳だけを取り出して他人の身体に埋め込むというのがそもそもリスクの高いことではあるのだけど、それとは危険度が比べものにならない。
「なら、どうするの?」
「色々と考えてイマスガ、それはそのときになってからのお楽しみ……というコトデ」
 出産予定日は二週間後を予定してくれているという。
 なんでも、雰囲気を出すために病院に話を通してくれているとかなんとか。実際に本物の病院で産むことになるわけだ。
「それ、いいの? 興奮はするけど……本物の妊婦さんとかの邪魔にならない?」
「問題アリマセン。そもそも、いまのご時世緊急の患者さんは少ないデスシ」
 私たちがそうであるように、大抵の人は身体の大部分を機械化しているか、あるいは悪くなったところを機械に入れ替えているから、病院の需要自体が少ないのだ。機械化されてる人が多いだけに、事故とか事件も少なくなっている。
 ミルキーみたいに脳以外全身、という人はさすがに少ないけど。
「出産した後は、どうするの?」
 出産したという体になれば、お腹の中にミルキーの脳を収納するわけにはいかない。
 ミルキーはそのことについても、何か考えがあるみたいだった。
「とても楽しいことを考えてイマス」
「ミルキーの楽しいこと、はとんでもないことだからなぁ……」
 私の子宮に自分の脳を入れるとか、ね。
 そう思いはするのだけど、それに興奮してしまっている私が言えることでもないのだった。

つづく

オナホ妖精の彼女

 最近、彼が会話をしてくれなくなった。

 私は自分の膣から引っ張り出した最愛の彼――ペニスだけの姿になった彼を見つめる。ペニスの彼はぴくぴくと動いてはいるのだけど、何の言葉も喋ってくれない。
「……お疲れ様。またやろうね」
 私はそう囁いて彼を棚に飾る。棚には買ってきた普通のオナホールが備え付けてあって、そこに彼を突き刺しておいておくことができた。
 最初の内はそうしているだけで気持ちよかったのか、オナホールの中に白濁液を吐き出していたのだけど、最近はそういうこともめっきりなくなってしまった。
 私が持つオナホ化の力を使って、定期的にペニスの姿から戻しては何百何千と射精をさせてあげているのだけど、最近の彼はずっとうわごとばかり呟いて、射精だけしかしなくなっていた。
 どんな風に話しかけても何の言葉も返してくれず、動き方も単調なものだったので、私はかなり寂しい思いをしていた。
(私に飽きちゃったのかなぁ……どうしたらまた元気に射精してくれるようになるだろう)
 考えてみれば私ばかりが気持ちよくなってしまっていて、彼を気持ちよくする工夫をしていなかった気がする。男性にとって射精は一番気持ちいいものだという認識があったから、回数をこなせば満足してくれているだろう、と安易に考えてしまっていたかもしれない。
(うん、彼に喜んで欲しいものね。私からも何かしなきゃ……でも、何をすればいいんだろう?)
 恥ずかしい話、上京して彼に愛してもらうまで、私はそういう行為に対して全くと言って良いほど無知だった。彼が主導で動いてくれていた時には、恥ずかしいのだけ我慢して彼の言うとおりにしていれば良かったけど、いまの彼は導いてくれない。
 自分でなんとかしなければならない。けど、どうすればいいのかわからない。
 困ってしまった私は、あの「オナホ化の薬」をくれたおばあさんを再び頼ることにした。


「ひっひっひっ……そこをいくお嬢さ――」
「おばあさん! 良かった、また会えました!」
 以前、おばあさんに出会った地下道に行くと、おばあさんは同じ場所にいた。
 会えた喜びではしゃぎすぎてしまったのか、おばあさんは面食らったような顔をする。
「うおぅ!? ……って、なんだあの時のア……ごほん! 世間知らずの嬢ちゃんじゃないかい」
「はい! 先日はありがとうございました!」
 おばあさんも私を覚えてくれていた。
 嬉しくなって御礼を言うと、なぜかおばあさんは顔を顰める。
「なんだい……結局あの薬は飲まなかったのかい?」
「いえ、いただきましたよ? 彼も大満足してくれました!」
 いまはさておき、最初の内は泣くほど喜んでくれていたはず。
 私が素直にそう伝えると、おばあさんはなにやら難しい顔をしていた。
「……ほう? ちょっと詳しい話を聴かせてくれるかい?」
「あ、はい。あのあと――」
 家に帰ってオナホ化の薬を飲んだ事。帰ってきた彼に使って貰って、精液を取り込んでいたら彼の方がペニスだけになってしまったこと。
 何度も同じことを繰り返しているうちに、彼が素っ気なくなって話をしてくれなくなったこと、などを丁寧に説明する。
 話しているうちに、おばあさんは感心したような表情から、呆れ果てているような表情に変わっていました。
「あんた……とんでもないことをやってのけたもんだねぇ……」
「とんでもないこと?」
「オナホから元に戻ることだよ。普通あの薬を飲んだ奴が元に戻ることはありえない。一度飲んだら普通はそのまま一生オナホのままさ。まあ、男を惹き付けることに変わりは無いから、男が衰弱死するまで吸い取った後、他の男の手に渡って今度はそいつを……ってなるから、あんたは気持ちよく生きれただろうけどね」
 なんだかそれこそとんでもないことを言われているような気がする。
 問い詰めようかと思ったけど、おばあさんが声高らかに笑ったので、言葉を飲み込む。
「あっはっは! いや、しかし傑作に傑作を重ねてくるとは思わなかった! わたしゃあんたが気に入っちまったよ!」
「は、はぁ……ありがとうございます……?」
「次の悩みはなんだっけ? えーと、彼があんたに飽きちまったって話だったか」
 どうやら、おばあさんは私の悩みを解決してくれる気になったらしい。
 私はささやかな引っかかりは放り出して、おばあさんに詰め寄った。
「そう、そうなんです! なんとかできませんか?」
「ふむ……そうだねぇ……まあ倦怠期って奴はどんなカップルにでもあるもんだ。それを打開する方法といえば……いつもと違ったシチュエーションで刺激を変えることさ」
 おばあさんはにやりと笑って、私に新しい薬をくれた。




 狂ってしまえれば、どれほど楽だっただろうか。

 俺はあの女に搾り取られ続ける日々にすっかり摩耗してしまっていた。女は俺の話をまるで聴こうとしない。いくら泣き叫んで許しを請うても、怒鳴り散らして怒りをぶつけても、まるでそうすれば俺が満足するとでも思っているかのように、俺を締め上げてひたすら精液を絞りだすのだ。
 確かにこの世のものとは思えない快楽であったことは否定しない。だがそのこの世のではない世界というのが、心地良い天国ではなく、苦しむ抜く地獄なのだから堪らない。
 普通ならとっくに脳の神経が焼き切れるか、何も食べていないことによる栄養失調か、あるいは別の要因で死に至っているのだろうが、あの女が得た不思議な力は、死という逃避すら許してはくれなかった。
 次第に考えることすら苦痛になり、俺は思考を放棄して女に与えられる快感を享受するだけの文字通りの肉棒と化していた。さっさと本格的に狂って何も考えられなくなればいい。そんな風に考えていた。
 だが、その単調な日々が唐突に終わった。
 俺が気づいた時、俺は電車に乗っていた。人気のない車内で、俺はひとり電車に揺られていた。ガタンゴトンと、単調なリズムを奏でる電車の音が耳に響く。
「あぁん……?」
 一瞬自分の置かれた状況が理解できず、変な声が出た。
(とうとう頭がいかれたか……いや、別にそれならそれで構わねえが……)
 何もする気が起きずに脱力したまま電車に乗っていると、やがてひとつの駅にたどり着いたようだ。近くの扉が開いて、女子高生どもが電車に乗ってくる。それを視界の端で認識しつつ、俺は特に何もせずにそのまま座っていた。
 すると不意に、その女子高生たちの方から小さな悲鳴らしき押し殺した声がしたかと思うと、大慌てで隣の車両に移動していったのがわかった。
(なんだぁ……? いったい何を……)
 俺はだるいのを堪えて首を動かす。すると、座っている俺の身体の股間から、ペニスが露出しているのに気づいた。
(ああ……これを見て逃げたのか………………んぁ!?)
 びくん、と思わず身体全体が震えた。
 ない。
 あのオナホの女が、ない。
 人間の身体を保ったまま、俺のペニスにあのオナホの女が被さっていない状態にあることに気づいた。
 上手く動かない身体に渾身の力を入れて動かし、ペニスをズボンの中に押し込める。とりあえず、これでいい。
「や、やっと解放されたんだ!」
 俺はふらふらしながらも立ち上がり、電車の窓に映る自分の姿を確認する。間違いなく、人間の身体に戻っている。
 あのオナホの女がどこにいったのかはわからないが、とにかく俺は自由になれた。
「よぉっしゃああ!! あの女、必ずぶっ殺して……いや、もう近付かない方がいいな」
 またバイブ代わりにされては堪らない。
 とにかく二度と会わないように、遠くに逃げることだ。
(あんなキチガイに構ってられるか! 今度の女は、もっと従順になるように……いや、もういっそ殺してから犯した方が……)
 俺は今後の明るい未来の展望を思いつつ、電車が次の駅に止まるのを待った。
 俺がいる車両に、さっき女子高生たちが逃げていった側から誰かが来るのを感じた。
(ちっ。さっきの女子高生たちが車掌にでも通報したか……? まあ、車内に監視カメラなんてないし、チンコもしまったからすっとぼけてやればいいだろ)
 そう思って、何食わぬ顔を装い、そちらの方を見る。

 やって来たのは、さっき逃げたはずの女子高生たちだった。

 まるで出来の悪いゾンビの演技でもしているかのように、全体的に生気がない。だらしなく開いた口から涎が垂れて制服を汚しているのに、それに構う様子すらない。
 目は虚ろで、その視線はどこにも向いていなかった。 
 さっきはちゃんと見れていなかったが、俺のものを見て悲鳴をあげて逃げる程度には普通だったはずだ。
 目に見えての異常事態に、ぞくり、と悪寒が背中を駆け巡る。
「あ、良かった! 目が覚めたのね!」
 聞き慣れた、天真爛漫な、無邪気で、馬鹿な女の声。

 オナホの女の、声だ。

 どこから声がするのかと思えば、女子高生の肩の上におかしな存在がいることに気づく。
 それは、たとえるならば「妖精」という表現が的確だろう。
 女子高生の肩に腰掛けられるほどの小さな体、背中には小さな羽根が映えていて、その輝く裸身を惜しげも無く晒している。
 それがあの女の顔で、その形をしていなければ――思わず見惚れていたかもしれない。
 だが、神聖な妖精の姿をしていようと、俺にとってはあの女の顔をしているだけで恐怖の対象だった。
 足が震えて縺れて、尻餅をついてしまう。
 這って逃げようとしたが、恐怖のあまり手にも力が入らない。
「あら……大丈夫?」
 あの女を乗せた女子高生が近付いてくる。
「ひぃ……っ! く、来るなぁ!」
 女子高生もろとも突き飛ばそうとして、急に身体が動かなくなった。
「ダメよ、この子達に乱暴しちゃ。この子達には手伝ってもらうんだから」
 キラキラとした鱗粉のようなものが俺の身体の中に入って来ている。
 直感でそれが俺の身体を操っているのだと悟る。振り払おうとしたが、そのときには俺の身体はもう自由に動かせなかった。
「て、つだう、って、なにを……!」
 舌も上手く回らない。痺れ粉なのかこれは。
 オナホの女はその背中の羽根でふわふわと浮かび、俺の方へと近付いてくる。
 そして俺にとっての死刑宣告を口にする。

「もちろん――私たちが愛し合うのを♪」
 
 身体の震えが止まらない。なのに、逃げようとしても、身体は動かない。
「い、いやだぁ……だれ、かっ、たすっ――ッ」
 張り上げようとした声は、突然喉が掠れて出せなくなった。
「公共の場所で騒いだらダメよ」
 その公共の場所で致そうとしてるお前が言うな、と叫びたかったが声が出ない。
 しまった。俺がすべきは周りに助けを求めることじゃなく、このオナホ女に俺はお前を愛してなんかいないと突き付けてやることだった。
 その方がこいつにとってはダメージになっただろうに。
 後悔先に立たず。オナホ女の指示だろう。虚ろな顔をした女子校生たちが俺の服を脱がしにかかっていた。女子校生たちはそこそこ可愛らしく、普段なら歓迎するところだが、この異常な状況では喜ぶことは出来ない。
 そもそも虚ろな顔をして迫られては、せっかくの可愛さも台無しだ。
「ある人がね、いつも同じシチュエーション、同じ場所じゃ退屈するだろうって教えてくれたのよ。だからね、この子たちには賑やかしになってもらおうと思って」
 どこのド畜生だよ、このキチガイにそんなこと教えやがった奴は。
「妖精化の薬をもらって飲んでみたら、こんな風に動けるようになったのよ。こういうの、なんていってたかしら……『オナホ妖精』っていうんだっけ?」
 確かに、そんな感じではあるが。この馬鹿女は自分が人外の存在になったことに対してなにも思わないのだろうか。本格的に狂ってやがる。
「ついでに、周りの人にちょっとだけなら言うことを聞いてもらえるようになったの。便利よね」
 鱗粉の効果のことだろう。ついで、とか言ってるが明らかに強力すぎる洗脳だ。
 俺を裸にした女子校生たちが、今度は自分たちの服を脱ぎ始める。賑やかしってそういうことかよ。
 ごく普通の電車内で、うら若き女子校生たちが裸になっていく。
 二人にまともな意識は無いようだが、こんな状況を周りに見られたらどうするんだ。俺は社会的に死んじまうぞ。

 だが、哀しいかな――こんな時でも、俺のペニスは欲望に忠実に反応して、固く勃起してしまうのだった。
 



 久しぶりに彼が話してくれた。
 それだけでも、おばあさんにアドバイスを請うたのは間違いじゃなかった。
 私は上機嫌に彼と愛し合うための場を作り上げていく。女の子ふたりにはせっかくなので協力してもらっている。
 彼は前から私を主食に例え、私と愛し合いつつも「おかずは別腹」と言ってエッチな本や雑誌も買っていた。たまに可愛い女の子と遊んだり、仲よさそうに写真を撮ったりもしていた。
 そのことを思い出したので、彼女たちにも脱いでもらったのだけど、おかず効果は抜群だったみたい。
 彼のペニスはもうすっかり準備万端なようで、久しぶりに元気な彼の様子が見れて安心した。いままでも勃起はしていたけど、どこか無理矢理勃たされているような感じだったし。
 いまはちゃんと気持ちよくなっているのがわかる。
「ふふふ……喜んでくれて嬉しいわ。さあ、愛し合いましょう♪」
 私は背中の羽根を使って自分の身体を彼の傍に移動させる。空を飛ぶというのも最初は戸惑ったけど、慣れれば思うままに移動できてとても便利だった。
(ああ……大きい……っ。これが私の中に入っちゃうのね)
 いまの私の身体は胴の太さがちょうど彼のペニスと同じくらいの太さだった。
 この逞しいものを自分の中に受け入れた時、どれほどの快感を味わえるのか。
 胸に期待が膨らむ。私はまず、いまの私からみると聳え立つ大きさのペニスに抱きついて、優しくキスをした。
「うぉっ、くぁ!?」
 すると、それだけで非常に気持ちのいい感覚が走ったのか、彼がうめき声を上げ、ペニスを震わせる。いまにも先端から噴き出しそうで、焦る。
「待って! まだ出さないで!」
 咄嗟に私は彼のペニスに抱きつきながら、力を使って彼に射精させないようにする。
 ペニスがギチリ、と音を立てて歪んだ。
「あぎゃあ!?」
 強制的に射精を封じたのがいけなかったのか、彼が非常に痛そうな声を上げる。
 だけど、いま出されるともったいないのだから仕方ない。
「ごめんね。もうちょっと我慢して」
 彼を気持ちよくしてあげなければ。
 そのためにまずは舐めて唾液で濡らすつもりだったのだけど、どうやらこの身体だと射精を促してしまうみたいだった。
 だから私は、裸で正座して待機していた女の子たちに協力してもらう。
「ふたりとも、彼のを舐めて濡らしてあげて」
 こくん、と頷いたふたりが一斉に彼のペニスを舐め始める。ふたりがかりで舐められた彼はいまにも出したそうにしていたけど、準備段階で出されては困る。妖精になって使えるようになった力で、射精ができないように指示を出した。
「あがっ、ががっ、いでぇ、いでぇよぉ……!」
「もう少しで準備できるから」
 ふたりの協力もあって、彼のペニスは硬く膨張したまま、唾液でてらてらと光っていた。
(うん。これなら大丈夫そうね)
 私は再び彼の傍に飛んで、ペニスの先端に跨がった。とても入りそうにない体格差だけど、いまの私はオナホ妖精。その穴を広げることを意識して念じると、だんだんそこが広がっていくのがわかった。人間だったら股関節が砕けてしまうところだけど、オナホ妖精の私なら問題ない。
 亀頭の先端が私の身体にめり込んできた。
「ん……っ、んしょ……っ、ダメっ、これ以上は……手伝って!」
 穴に入るか入らないかじゃなく、純粋に押し込む力が足りない。
 だから、女の子たちに頼んで、私の身体を掴ませ、ペニスを銜え込む方向に押し込んでもらった。
「――んごぉっ!!」
 手加減なしで押し込まれた結果、彼のペニスは私の身体を変形させながら身体に入り込んだ。お腹がぽっこりと膨らみ、その膨らみは胸の辺りまで広がっていた。
 ごりごり、と背骨と彼のものが擦れ合う衝撃が私の脳髄を震わせる。目の前が真っ白になるくらい、気持ちよかった。
「んぎぃっ! だ、出させてくれぇ!」
 彼が悲鳴をあげている。そういえばまだ射精を禁止したままだった。
「いいよ……いっぱい出して♪」
 そう許可を出した途端、私の中で彼のペニスが脈打ち、大量の精液を私の身体の中に吐き出した。
 ミチミチ、と音を立てそうなほど勢いよく、私のお腹が膨らむ。彼の精液が注がれ、膨らんだ私の身体は風船のようだった。
 オナホだった時とは違って、この状態だと口から精液が零れ出すことはない。だからすぐ普通の人間に戻ってしまうのではないかと思ったのだけど、何度か試してみた結果、戻る戻らないは私の自由にできると知った。
 私は細い手足に不釣り合いなほど膨らんだお腹を愛おしく感じて、自分の手で撫でながら女の子たちに命じる。
「私を掴んで、上下させてっ」
 オナホのように。
 彼女たちは私のお願いに忠実に従った。ふたりの両手が私の身体を掴み、彼のペニスを擦りあげるようにして上下運動をする。彼は一回上下運動をする度にどんどん精液をあふれ出し、言葉も出ないほどに喜んでくれているようだった。
 ふたりの手で鷲づかみにされ、身体を貫くペニスによって、全身を上下に擦り上げられ、私も気持ちよくなって何度も絶頂してしまった。
 やがて堪らずあふれ出した精液で彼の下半身が真っ白になる頃、彼が気絶してしまったので、私はふたりに命じて動きを止めてもらった。
「うふふ……久しぶりに気持ちよかったね♪」
 彼から返事はないけど、これだけたくさん出したのだから気持ち悪かったわけがないだろう。
 ふと、ちょうど電車も終着駅に着きそうになっていることを見る。
「あら、いけない。彼に服を着せるのを手伝って。あなたも服を着て」
 私は彼に貫かれたまま、女の子たちに手伝ってもらって彼に服を着せて貰う。いまの私の力なら意識のない彼も動いてもらえるから、すぐに身支度は調った。
 彼に貫かれている私はそのままだ。私の存在は他の人にとって妖精のように認識されない。だから、私の身体を貫いている彼のペニスも、私が覆っているうちは出しっ放しでも問題ない。
「家に帰るまでも、何度も絞り出してあげるね」
 そう囁きながら、私は彼のものを身体全体で締め上げる。
 電車が終着駅に着こうとしていた。ドアの前に彼を立たせ、降りる準備をする。
 あ。忘れるところだった。手伝ってくれた女の子ふたりに御礼を言っておかないと。
「手伝ってくれてありがとう。気をつけて帰ってね」
 ふたりが頷くのを見て、私は満足して彼に貫かれたまま、車外に出て行った。

 さあ、私たちの家に帰ろう。


 このとき、彼女はふたりの女子校生に「服を着て」帰る様に言わなかったため、彼女たちは操られた自我喪失状態のまま、裸で全裸帰宅を実行することになった。
 幸いにして「気をつけて帰る」ように命じられていたため、なるべく人目に付かないように帰宅を試みたことで、かろうじて警察に掴まったり、暴漢に襲われたりということなく、彼女たちは家に帰り着くことができた。
 もっとも、全裸のまま家に帰ってきた彼女達を見た家族が、大騒ぎすることになったのは当然で、正気に戻った彼女たちはなんでそんなことになったのか説明できなかった。
 さらにしばらく後に、この際の衝撃的な経験が彼女たちを露出ッ子の道を歩ませることになるのだが――それはまた別の話だ。

 オナホ妖精の彼女は、その後も女子校生ふたりに行ったように、無自覚に力を振りまいていくことになるのだが――それもまた別の話である。


オナホ妖精の彼女 おわり

[ 2018/09/10 23:19 ] 小説・短編 オナホの彼女 | TB(-) | CM(0)
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